
他では聞けないくすりのはなし
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アポってなんだ?
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その昔、私が若かりし頃(今でも十分に若いのだけれど)、病棟に行きだして間もない頃のことです。いわゆる服薬指導のために病棟を回っていて、ある病室に行きました。で50代の男性の患者さんのところに行ったときのことです。
「はじめまして、○○さん、私、薬剤師の佐藤賛治と言います。○○さんが飲まれている薬について説明に参りました」といつものように切り出したところ、「私もアポですから」との返事。
えっ、アポってなんだろう?私の頭の中は真っ白になりました。適当に話を合わせようかとも思いましたが、どうやら無理だと感じました。例えば、英語の本を読んでいて、その単語が分からないとどうにも意味の通じないことってありますよね。まさにその感じでした。
臨床の現場では、よく略語で会話をしています。それもドイツ語混じりの略語です。それを知らないと、全然会話についていけません。アポるは、ドイツ語Apoplexieから来ていて、「脳卒中で倒れる」という意味です。それはかろうじて知っていたのですが、もちろん、それではこの場合、文脈が通じませんよね。アポイントメント(約束)でもなさそうです。
私の心の動揺を感じたのでしょうか、その患者さんは、「製薬会社に勤めていた薬剤師なんですよ」と言ってくれました。そうか、アポって薬剤師のことなんだ。やっとすっきりしました。
同業者相手に薬の説明をするというのもとてもやりにくかったのですが、ひととおり薬の説明をした後、すぐにその患者さんのカルテの職業欄を見て、更にドイツ語の辞書を引きました。
Apothekerというドイツ語を略して、アポ、今となってはなかなかそういうことを言う人もいないと思いますけど、勉強になりました。それ以来、患者さんのところに行くときは、カルテの職業欄をかならず見るようにしたのは、言うまでもないことです。いや〜、若い頃はいろいろありますよ。失敗を重ねて人は大きくなるものです。(本当に成長しているのかは、はなはだ疑問ではありますが(^_^;))
(1998/11/21)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)