
他では聞けないくすりのはなし
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またまたインフルエンザの話題ですみません。
「2003年度インフルエンザの話題」で、地域により偏りはあるものの、インフルエンザワクチンが若干品不足気味のようですと書きました。実際に接種しようとしても、なかなか在庫が無くてできないという話を聞いたことがあります。
しかしどうやらあるところにはあったようです。
厚生労働省の調べによりますと、一部医療機関に在庫があって、それを卸問屋に返品される数が約15万本(成人の30万人分)になりそうだということです。15万本という数は、今シーズンの生産量の約1%になるということです。国がインフルエンザワクチンの返品状況を都道府県別に集計するのは今回が初めてということです。
昨年11月から各地で不足だと言われていました。厚労省では、医療機関に対し、余っているワクチンを足りない地域へ配分することなどを呼びかけていました。また一般に医療機関は、購入した薬を使わなくなったら、一定の期間内なら卸問屋に返すということがされておりますが、今シーズンは卸業者はインフルエンザワクチンの返品に応じないよう通知されていました。同省の指導で、余っている医療機関から足りない医療機関に1万本余りのワクチンが融通されているそうですが、いまさら融通してほしいというところはないようです。
●厚生労働省:インフルエンザワクチンの供給調整について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1209-2.html
ところがふたを開けてみればビックリ。あるところにはあったんですね。オイルショックの時のトイレットペーパーのようです。都道府県別に集計されているようで、愛知県が一番多く、大阪府、東京都、神奈川県と続いているそうです。東京や大阪とくらべて人口は少ないのに、なぜ我が愛知県が一番だったのでしょうか?がめつい県民性と言われても何も言えません・・・。

インフルエンザワクチンは基本的にそのシーズン限りのもので(来シーズン来シーズンでどんな型のものが流行るか検討されて作られます)、使わなかったものは廃棄するしかありません。製造量の1%が未使用というのは非常に多い気がしますが、過去のデータを見てみると、そうでもありません。例年10-20%は未使用で廃棄されています。
厚生労働省:第6回インフルエンザワクチン需要検討会の検討結果について(2003/06/24) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/06/s0624-7.html から平成8年度から今年度のインフルエンザワクチンの製造量と未使用量の推移を抜き出してみます(なお平成14年度は推定値です→最終結果が出ましたので、その値に変更しました(2004/05/15変更))。
製造量(万本) 製造量(万本) 未使用/製造(%) 平成8年度 70 19 27.1 平成9年度 79 8 10.1 平成10年度 153 6 3.9 平成11年度 345 3 0.9 平成12年度 759 126 16.6 平成13年度 1060 189 17.8 平成14年度 1480 18.2 151.2 1.0
平成12年度と13年度が未使用が異常に多いことがわかります。だから今シーズンの1%という数字はわりあい優秀じゃないかと言うこともできます。でも今シーズンの場合は、接種したくてもできなかった人が多かったのでそんなこと言ってはいけません。もっと効率よく医療機関の間で融通しあうことができれば、もう少し多くの方が接種できたはずです。
別に私が言い訳しなくていいのですが、今シーズンのインフルエンザワクチンの需要は特殊でした。SARSと鑑別をつけるために、インフルエンザワクチンを接種することがのぞましいと言われていました。ですから、どれだけの患者さんが接種するかを予想するのはとても難しいことだったと思います。
このことも「2003年度インフルエンザの話題」に書きましたが、インフルエンザワクチンをそのシーズンどれだけ購入するかということを、春の時点で決定して製薬会社に伝えなければならないというシステムがあって、春の時点で伝えた数を大幅に変えることはできないようです。どれだけ患者さんが来るかわからない状況で、多め多めの数を言ってしまいがちということもあります。
一部の医療機関で抱きかかえていたようですが、あまり悪質な医療機関は病院名の公表もありうると発表しています。厚労省の担当官は「返品に応じないようメーカーに要請しても、民間の商取引のため強制はできないと」言っています。
幸いにも私が勤めている病院では、わずか数本があまっているだけです。これは卸業者には返さず、院内で廃棄処分となる予定です。
(2004/02/11)
<追加訂正情報>
結局、最終的に2003年度の未使用のインフルエンザワクチンは、18万2000本(製造された分の1.2%になります)になったことが厚生労働省の調べでわかりました(この情報を上の表に反映させてみました)。2月の中間報告よりその数が増えています。そのうち13万7000本が医療機関からの返品だったそうです。
このために65歳以上の高齢者の少なくとも2万9000人が、接種を希望したのに受けられなかった可能性があることが明らかになっています。
(2004/05/15追加)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)