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他では聞けないくすりのはなし

イレッサその後

 私事ではありますが、年末に転勤・引っ越しとありまして、なにかとばたばたして世間のニュースから遠ざかっていましたら、世の中いろいろ変わっていました。医薬品の関係も例外ではありません。特に肺癌治療剤「イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)」関係で話が進んでいました。すでにマスコミ報道もされておりみなさんもすでにご承知のことだと思いますが、昨年10月28日に「肺ガン治療剤の新薬で重篤な肺障害」の項を書いてからいままでのまとめを書いておきます。
 昨年10月15日に厚生労働省よりイレッサの緊急安全性情報が出されてから、なお重篤な副作用の報告があるようです。安全性の評価や今後の対応などを協議するため、2002年12月25日に厚生労働省が開催した「ゲフィチニブ安全性問題検討会」で、適正使用対策がまとまっています。
●ゲフィチニブ安全性問題検討会における検討の結果について(厚生労働省)
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/12/h1225-3.html
●イレッサ錠250(ゲフィチニブ)による副作用が疑われる急性肺障害症例の検討について(アストラゼネカ社)
 http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/02_12_06.html
●アストラゼネカ社プレスリリース:アストラゼネカは、昨日厚生労働省により発表されたイレッサ(一般名:ゲフィチニブ)のより安全な使用のための新たな対策を直ちに実施していきます
 http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/02_12_26.html
 投与される患者さんに対して十分にこの薬の有効性、安全性、副作用を説明して納得してもらうということ、また、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用し、副作用発生が多いとされる投与開始後4週間は十分に副作用に注意すること、「服用者向け情報提供資料」の作成などを通して、患者やその家族に対して死亡を含む副作用の発生数を具体的に伝えることなどが決まっています。
肺
 たぶんその結果を受けてのことだと思いますが、アストラゼネカ社はこのようなサイトを公開しており、医療関係者や投与患者さんに対して情報提供しています。
●イレッサ - イレッサの情報提供サイト(アストラゼネカ社)
http://www.iressa.jp/japan/lmc_select.asp
 このサイトの中で患者さん向けに書かれてあります。

 このお薬を服用中にかぜの様な症状:息切れ、呼吸がしにくい、咳および発熱等の症状があらわれたときは、すみやかに医療機関に受診してください。
 このような初期症状があらわれる急性肺障害、間質性肺炎という副作用は、早く見つけて、早く処置を行わないと、致死的な経過をたどる場合があります。

 このことは、イレッサを服用されている患者さんが注意しなければならないことです。
 イレッサは通常は1年ほどかかるところを、申請から5ヶ月ちょっとという異例の早さで承認された薬です。その審査報告書には、治験対象の患者数が少ないことや有効性・安全性が十分に確認されてなく、死亡率の高い間質性肺炎を起こす危険性が指摘されていました。しかしそのことは、使用する医師や医療機関に十分伝わっていなかったために、これだけ多くの副作用がでているという事実があります。また、今のところ世界中で日本でしか薬として認められていないものです。
 また、肺癌以外のがんにも使用されているケースがあるようです。厚生労働省は「承認された対象に使うのが大原則で、それ以外では効果も安全性も保証できない」とコメントしています。
 厚生労働省は最近、企業に対し承認時の新薬の審査報告書の公開や医療機関への報告書の配布を指導、治験データなども3ヶ月以内の公表を義務づける通達を出しています。審査報告書の内容は、医薬品機構:医薬品情報ホームページの新薬の承認に関する情報http://www.pharmasys.gr.jp/shinyaku/shinyaku_index.htmlで確認できます。
 さらに最近得た情報によると、イレッサのスピード承認の経過に不備がなかったかどうか、いったんは検証するとしていましたが、それを翻して検証は見送る、つまり検証しないことになったそうです。同省は年末に開かれた「安全性問題検討会」でそのことに関して指摘がなかったからとしていますが、いろんな方面で物議をかもし出しそうです。

(2003/01/26)

(追加)
 先日の新聞報道によりますと、イレッサの副作用で亡くなられた方が今年(2003年)の4月22日現在で246人になったとのこと。しかし、昨年12月に上に書いたような対策がとられたことから、その数は減少。対策前は20900人の服用患者のうち200人が死亡(死亡率約1%)だったのに対し、対策後は7400人の服用患者のうち14人が死亡(死亡率約0.2%)ということです。

(2003/05/05追加)

(さらに追加〜速報)
 日本の厚生労働省に相当する米国FDAは、この5月5日にイレッサを承認したと発表しました。
 ただし、非小細胞肺癌の標準治療薬である白金系抗癌剤やドセタキセルで治療しても、症状が進行してしまった患者に限定使用するという条件付きの承認であるとのことです。FDAはイレッサの終了審査期間を2月5日から3カ月間延長し5月5日まで伸ばしており、日本での動向をみて慎重に対応したと思われます。
 いまのところ、FDAのホームページ中、http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2003/NEW00901.htmlでみることができます。

(2003/05/07追加)

 ※ この項、「イレッサは効くの?効かないの?」に続きます。

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制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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