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他では聞けないくすりのはなし

イレッサは効くの?効かないの?

 イレッサに関する速報です。イレッサは、いままでこのサイトで「肺ガン治療剤の新薬で重篤な肺障害」「イレッサその後」で書いています。この項は今後、改訂・更新されていく予定です。
 イレッサを製造・販売しているアストラゼネカ社は、日本を除く世界28カ国で2003年7月から2004年8月まで、治療抵抗性の非小細胞肺がん患者さんの生存期間をプラセボ(偽薬)との比較で検討するISEL試験を実施し、その初回解析結果を2004年12月17日に発表しています。日本国内では、2004年12月18日より医療機関への情報提供を開始したとのことです。
 ●アストラゼネカ:イレッサの進行非小細胞肺がんにおけるISEL試験の結果について
 http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/04_12_20.html
 ISEL試験に参加された1692名の患者さんは、既にさまざまな治療が行われた末期の肺癌患者さんです。全ての患者さんを対象にした解析で、イレッサを服用していた患者さんにおいて、イレッサの代わりにプラセボ(偽薬)を服用していた患者さんと比較して腫瘍縮小効果では統計的に有意な改善がみられましたが、生存期間に関しては統計的に有意な延命効果に至りませんでした(5.6カ月と5.1カ月)。つまり、世界28カ国で行われた結果では、イレッサを服用してもしなくても余命は変わらないという結果です。
 しかし、374名の東洋人の患者さん(日本の施設は含まれていない)を対象とした解析では、イレッサを服用していた東洋人の患者さんで、生存期間が改善することが示唆されています(9.5カ月と5.5カ月)。また、喫煙歴がない患者において生存期間延長が示唆されています。
肺
 この結果をふまえアストラゼネカ社としては、次のようにコメントしています。
 「イレッサによる治療を選択するかどうか、あるいはイレッサの投与を継続すべきかどうかは、イレッサの有効性・安全性、他の治療法などを考慮し、医師と患者さんが充分相談のうえで判断していただくことが重要と考えています。
 医療機関ならびに患者さんへの速やかな情報提供が重要と考え、今回の試験結果に関しての医療機関および患者さんからの問い合わせにお答えするイレッサくすり相談窓口 (フリーダイヤル:0120−119−703)を開設しました。 」
 今回のデータには日本の施設は含まれていませんので、日本人で効くかどうかの検討はこれからです(日本人での生存期間をみる臨床試験が現在行われており、それが非常に重要な試験であると考えられています)。
 この結果だけで、イレッサを飲むのをやめるのは早計過ぎます。現在イレッサを服用されている方やこれから服用することを検討されている方は、主治医とよくご相談されることをおすすめします。

(2004/12/21)

<追加情報〜1>
 当然のことですが、上記試験結果を受けて動きがあります。
 まず、FDAのほうから。世界に先駆けて日本国内でまず承認されたイレッサですが、アメリカでも2003年に承認されています(「イレッサその後」の項の追加情報として書きました)。しかし、2004年12月17日付で「市場からイレッサを回収するか、ほかに妥当な規制措置を取るか決める予定」との声明を出しています。がんの縮小だけで迅速的に承認をしたけど、イレッサ投与による生存期間の延長が認められないという結果なら、しかるべき措置を執るということです。
●FDA Statement on Iressa
 http://www.fda.gov/bbs/topics/news/2004/new01145.html
 日本国内では、厚生労働省がアストラゼネカ社から、さらに詳しいデータ提出を求め、年明けに専門家を交えて安全性や有効性の評価を始める方針であるとのことです(上の試験で、東洋人には生存期間の延長が確認されたとの結果がでていますので、難しい対応になることが予想されます)。また、「イレッサ薬害被害者の会」は、厚生労働省に販売を中止するよう申し入れています。
●イレッサ薬害被害者の会:厚生労働省とアストラゼネカ社に対する緊急申入れについて
 http://homepage3.nifty.com/i250-higainokai/2004-12-24FDA=Moshiire.htm

(2004/12/26追加)

<追加情報〜2>
 厚生労働省はこの12月27日に、ISEL試験データを分析するために専門家による検討会を来年1月20日に行うと発表しています。
●厚生労働省:ゲフィチニブ(イレッサ錠250)のISEL試験の結果に関する検討について
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1227-5.html
 この件に関して、追加で一言・・・。
 たとえ生存期間の延長は認められなくても、服用すれば呼吸が楽になったなど、QOL(Quality Of Life;質的によりよく生きる)の向上が感じられるとの感想を呼吸器病棟担当の薬剤師から聞きました。EBM(Evidence Based Medichle;科学的根拠に基づく医療)でもなんでもないのですが、きっと全国の呼吸器内科の医師はそのような思いではないかと思います。できれば治療の選択枝を増やすという意味で、イレッサは残した方がいいのではないかなあと個人的には思います。とりあえず日本人でのデータが出るのを待ってから判断した方がいいでしょう。

(2004/12/29追加)

<追加情報〜3>
 2005年1月4日アストラゼネカは、欧州連合(EU)当局へのイレッサの承認申請を取り下げると発表しています。欧州ではまだ未承認で、いまから承認申請をしようとしていたところのようでしたが、自ら退いた形です。飲んでも飲まなくても、余命が変わらないという結果ですから、仕方ないといえば仕方ないと言えますが・・・。
 ●astrazeneca.com:GEFITINIB (IRESSA) MARKETING AUTHORISATION APPLICATION WITHDRAWN IN EU
 http://www.astrazeneca.com/pressrelease/4442.aspx
 上に書いたように、日本国内では1月20日に話し合いがあるとのことです。欧州での決定がどのように反映されるのか関心のあるところです。また、日本と同様にすでに承認してしまったアメリカFDAも、今後の対応をどうするかといったところです。

(2005/01/05追加)

<追加情報〜4>
 厚生労働省での専門家による検討会が予定通り2005年1月20日に行われました。
●厚生労働省:ゲフィチニブ検討会における検討の結果について
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/01/h0120-1.html
 使用を制限するなどの規制は当面必要ないという結論になったそうです。東洋人には延命効果があると見られるデータが出ていることなどのためだとか。間質性肺炎などの重い副作用がでないか見るために、投与開始4週間は基本的に入院してもらって、肺がん治療に十分経験のある医師の管理下で治療を行うという、従来の安全対策を引き続き行うことを徹底させ、また、上記ISEL試験結果で、東洋人で喫煙者には生存期間の延長が認められなかったことなど、患者さんに説明して同意を得た上で使用するのが重要とする意見がまとめられています。
 アストラゼネカ社は今年の3月までに臨床試験の詳細な分析結果をまとめ、厚生労働省はその報告結果により改めて検討会を開き、対応を協議する予定だそうです。

(2005/01/20追加)

<追加情報〜5>
 イレッサの新しい展開です。イレッサ(一般名ゲフィチニブ)について、米食品医薬品局(FDA)はこの6月17日に、投与は、すでに服用して効果のあった患者さんに限り、服用経験のない患者さんには与えるべきでないとする警告を出しています
●FDA:Gefitinib (marketed as Iressa) Information
 http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/gefitinib/default.htm
 アメリカでは、原則、新しい患者さんにイレッサを投与しないということが決まりました。例外として、過去に服用して効果があった患者さんと、現在、服用していて効果が出ている患者さんに使用を限定するとのこと。アメリカではこれにあわせて、添付文書の改訂が行われるそうです。
 新たな患者さんにイレッサを投与しない理由は、上のISEL試験の結果と、放射線と抗がん剤での治療を終えた患者に使っても、延命効果がなかったとの臨床試験結果を、米国の医師グループが、この6月15日に米国がん治療学会で発表したのを受けてのことだと思われます。
 イレッサを世界で一番はやく承認した日本では、2005年3月15日に日本肺癌学会から、「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」(http://www.haigan.gr.jp/gefiti-gaid.pdf)が出されており、注意しながら使いましょうという方向です。
 米国がん治療学会での発表をうけて、厚生労働省はイレッサの使用ガイドライン改定の必要の有無について、日本肺癌学会に検討を依頼したとのことです。とりあえず、現状ではイレッサ投与により、日本人では延命効果が期待できますが、詳細なデータはないので、そのデータを早急に集めろと、厚生労働省はアストラゼネカ社に通達するのでしょうか?(ちらっとメーカーのMRさんに聞いたところ、日本国内では、人道上の理由でイレッサを全然投与しない方と、投与した方をわけること自体、できないのではないかと話されていました)

(2005/06/19追加)

 ※ イレッサに関して、すべての情報を書ききれていないことをご了承下さい。

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制作・著作:佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません

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