
他では聞けないくすりのはなし
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「スティーブンス・ジョンソン症候群」(SJS)という病気をご存じでしょうか。別名、皮膚粘膜眼症候群とも言われます。さらに症状がひどい状態が、中毒性表皮壊死症(TEN)(別名:ライエル症候群)と言われています。発熱があり、赤い斑点が全身にできるということからはじまり、水ぶくれができてやけどのように皮膚がむけたりします。また目の結膜や角膜もおかされ、最悪の場合は目の表面が皮膚化してしまいます。失明、極端な視力低下をする怖い病気です。
11月30日付で厚生省より「医薬品・医療用具等安全性情報No.163」( http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1211/h1130-1_a_15.html )が出されました。その中でスティーブンス・ジョンソン症候群について書かれてあります(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1211/h1130-1_a_15.html#17)。この副作用は、最近になって分かったというものではありません。改めて医療関係者に注意を促すという意味で出されています。
原因医薬品は、抗生物質製剤、解熱鎮痛消炎剤、抗てんかん剤、痛風治療剤、サルファ剤、消化性潰瘍用剤、催眠鎮静剤・抗不安剤、精神神経用剤、緑内障治療剤、筋弛緩剤、高血圧治療剤などであり、その他種々の医薬品で発生することが報告されています。あまり起きる副作用ではなく、SJSで人口100万人あたり年間1〜6人、TENで0.4〜1.2人と極まれにしか起こらない副作用ですが、不幸にして起きてしまうと重篤な症状になってしまうので注意が必要です。副作用の発生時期は、薬を飲んでから早いもので3日以内、多くは15〜21日にでています。それが副作用と分かってから原因薬剤の服用を止めてただちにお医者さんにかからないといけません。治療は副作用がでてから2週間が勝負であると言われています。
とはいえ、その副作用の出始めの症状をしらないと対処のしようがありません。薬を飲んでいて、発熱、関節が痛い、皮膚がまだらに赤くなる、水ぶくれができる、くちびる・口内があれる、目が充血するなどという症状がでたら薬を飲むのを止めてすぐ主治医を受診してください。
実際にどんな症状になるかは、「スティーブンスジョンソン症候群ホームページ」(http://www.ne.jp/asahi/sjs/tens/)サイト中、(http://www.ne.jp/asahi/sjs/tens/se.html)で、写真入りで見ることができます。
話は変わりますが、TENの副作用に対してのインフォームドコンセントに関する判例では、平成8年2月27日に高松高裁で出たものが我々医療関係者の間で有名になっています。それは、どんなものかといいますと、アレビアチン、フェノバール(この2つはてんかんの薬です)、ラキサトール(これは下剤です)の処方薬を飲み、中毒性表皮融解壊死症で死亡した患者の遺族からの訴えに対して、処方・投薬をした医師の過失を認めたものです。
その判決の内容は、アレビアチン、フェノバール、ラキサトールのいずれにもその副作用として、頻度は少ないものの、中毒性表皮融解壊死症があるのに、投薬時に医師は患者に「何かあればいらっしゃい」という注意をしただけですが、それでは不十分であるということで、「けいれん発作を抑える薬を出しているが、ごくまれには副作用による皮膚の病気が起こることもあるので、痒みや発疹があった時にはすぐ連絡するように」という程度の具体的な注意を与えることが必要だった、というものです。薬を服用して、あらかじめそのような副作用がでることを説明していれば、ひょっとしたら重篤な状態にならずに済んだ・・・万が一の副作用を説明しなかったということが問われた判決です。
製造物責任法(PL法)が施行されて以来、医薬品に付いてくる添付文書(くすりの効能、用法・用量、副作用などがかいてあります)が、非常に重要なウエイトを占めると言われています。つまり、製薬会社としては、あらたな副作用が発見されると、その添付文書を改訂していますが(最近、実に頻繁に行われています)、その改訂を医療機関に公表した後、その副作用が起きて適切な処置をしなかった場合は、医療機関の対応が悪いということになります。
高松高裁での判決の時期は、まだ薬剤師の情報提供の義務が法文化されていませんでしたが、今同様のことが起き、薬剤師も何も説明していないとすれば、薬剤師の責任も問われるということになります(なるはずです)。
<参考> 高松高裁平成8年2月27日判決
http://www.ne.jp/asahi/law/y.fujita/med/han0619.html
<このサイトでの関係ページ>
薬剤師の情報提供の義務
薬剤師ってなんじゃらほい
なお他の薬剤師から、投与禁忌〜注意についてのターニングポイントは別の判例だとご指摘を頂きました。ご指摘ありがとうございます(^_^) 。医師の慣例とはいえ、添付文書を無視してはいけないという判例です。
(2000/12/08)
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制作・著作:
佐藤賛治 (薬のご質問にはお答えできません)(http://d-inf.org/drug/)